超激辛爆笑鼎談・「出版」に未来はあるか?

中央公論買収の裏側、三一書房ロックアウトの真相

井家上隆幸、永江朗、安原顕 / 編書房 / 99/06/10

★★

酒場での与太話

 『出版クラッシュ!?』と同じシリーズに属していると考えられる本。発行はこちらの方がさき。

 参加者の顔ぶれからわかるように、業界ゴロの色合いの強い業界内輪話。中央公論社の読売新聞社による買収と、三一書房のロックアウトという(この業界では)大きな事件の裏話に、その他もろもろの話が加わっている。ゴールデン街のにおいがしない分だけ、『出版クラッシュ!?』の安藤哲也と小田光雄を高く評価したくなってしまった。

 中央公論社と三一書房の裏話が面白かったのは認めるんだが、非生産的で縮小再生産的な面白さ。

 永江はペヨトル工房やリブロポートに関連して述べている箇所(149ページ)。

八〇年代から九〇年代初頭までは、こういうものはカッコよかった。言い換えると西武が元気だった時代でもある。でも、時間が経過すると、ちょっと気恥ずかしいものにもなってしまったようなところがあるんですよ、僕らの世代には。
……
昔なら、少数ではあるけれど、井家上さんの言う「読者が見えている本」は成立した。ところが、その少数の「読者」が「こういうのはちょっともう恥ずかしいな」なんて思い始めたんじゃないかな。そういう意味では典型的な流行商品というか。

 まあそういうことだ。「読者が少なくなった」というようなことを言うとき、その基準をどの時点に置くかが問題となる。特定のジャンルが、かつては勢いが良かったのにいまはだめになっているという場合、それは勢いが良かったときが「バブル」だった可能性がある。ペヨトル工房やリブロポートの系列のジャンルについていえば、まさに日本経済のバブルと連動した一時の流行だったという冷厳な見方をしないとだめだろう。コンピュータ関連書籍は、少し前までは恐ろしい勢いで伸びていたが、このところ低調である。だからといって、「コンピュータ関連の書籍を読む読者が少なくなった。これは日本文化の零落につながる由由しき事態である」などと思っている関係者は一人もいないはずだ。

 そのように流行が過ぎ去ったときに、合理的な判断を下す出版社は、その分野での活動を縮小するか転身する。そして供給がマーケットに見合った規模になった時点で安定する。それが健全なあり方なんである。

 まあねえ。『夜想』を創刊号から何冊か続けて買った私としては、この「気恥ずかしい」という感覚はよくわかるんですわ。まあ、またいつかこれが恥ずかしくなくなる時代も来るだろう。「私は時代に流されずにやっていくんだ」と意気込むとしても、バブル期の西武カルチャーを立脚点にする必然性はどこにあるのかと問われると難しいですよね。

2000/8/12

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