ウェブ・ユーザビリティ

顧客を逃がさないサイトづくりの秘訣

Designing Web Usability

ヤコブ・ニールセン / エムディエヌコーポレーション / 00/08/11

★★★★

賛同できることの多いガイドブック

 コンピュータ技術関連の本は扱わないことにしているのだが、本書は話題に広がりがあるので取り上げることにする。webサイトのユーザビリティに関するガイドブック。著者はユーザー・インターフェイスのユーザビリティの分野での有名人。書かれている内容はほとんどが常識的なことだが、個々のページのデザインからイントラネットの構築までのトピックをカバーし、国際化とアクセシビリティにも触れている網羅的な本なので、通読すれば何かしら得ることはあるだろう。ただし、ビジネス目的のサイトのデザイナーが対象である。

 このサイトを本書のガイドラインに照らし合わせてみると、準拠している点もあれば、していない点もある。しかし、そもそも本サイトのたとえば日本語メイン・ページなどはどんな商用サイトにも採用されないだろうから、デザイン・ガイドラインを云々してもしかたがないのである。とはいえ、謙虚な姿勢で著者の言葉を咀嚼してみた結果、ほんとうに痛いところを突かれたと思ったのは次の2点。

 ".com"ドメインのサイトは英語中心のサイトであるべきである。これについてはいろんな事情と経緯があってこうなっているのであり、とうぶん".jp"ドメインに移るつもりはない。言い訳として、ホーム・ページは英語にしている。ルートのindex.htmlが日本語ファイルなのはさすがにまずいと思ってのことである。

 ハイパーテキストの特性を活かした文章を書くべきだ。そのような文章を書いてみたいという気持ちもあるが、結局のところ、完全に気まぐれなコンシューマの注意を惹きつけることを至上の目的とする商用サイトと、このサイトに来た人はランダムなユーザーよりも辛抱強く文章を読んでくれるだろうと期待する趣味目的のサイトの間のギャップは非常に大きい。読者に何かの情報を伝えるためには、それに応じたライティングをする必要があるということは重々承知しているが、少なくとも「読書メモ」と「映画メモ」はどちらかといえば自分のためのメモなので、他人に何かを伝えるという目的は二次的なものである。「お勧め映画」シリーズは読者を意識して書いてはいるんだが、うまくいってるのかどうかは不明。

 その他は、クリアしているか、トリビアルであるかのどちらかである。私に必要なのは、むしろケバケバしいサイトを作るためのガイドであるようだ。

 なお、本書の翻訳は全体的に不安。1点だけ。278ページでは、「花王」のホーム・ページのグラフィックにコメントが添えられているが、このコメントの訳が意味不明である。この文章は、「花王」のホーム・ページに表示されている英語がむちゃくちゃなので、英語を知っている人はここから先には進まないだろうということが前提となっている。おそらく翻訳者は、このグラフィックを見ずに作業をしたため、原文の意味がわからなかったのだろう。171ページのDVD WAVEのページに関するコメントでも同じことが起こっており、"film"が「映画」のことであり、"rating"が「レーティング」(年齢指定)のことであるということがわからずに、それぞれ「フィルム」、「品質」としている。

2000/8/26

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