眠れぬイヴのために

Praying for Sleep

ジェフリー・ディーヴァー / 早川書房 / 98/05/15

★★★★

思いっきり派手

 著者の『死を誘うロケ地』の後、『静寂の叫び』の前にあたる小説。思いっきり派手にしてやろうと決めて書いた、という感じで、すなおにこの陽気さを楽しむことができた。

 ストーリーの軸となる男は、精神病から脱走した分裂病の男。この男が裁判で不利な証言をした女教師の住んでいる町に向かうという空間/時間的推移が、物語の骨格となっている。これに、問題の裁判のもととなった事件の真相が徐々に明らかになっていき、最後に男が女教師の家に到着したところですべてが明らかになるという、何かチャートでも書いて作ったような構成なんだが、みごとにつぼにはまった。何か気に食わないんだけど、これだけきれいにできてれば文句つけようないな、という感じ。

 もう一つ。分裂病の男の「主観的描写」が上手にできていることに注目すべきだ。このところブームの精神異常者ものの中では、「理性」があるサイコパスの場合を除き、主観的描写が物語の中で説得力を得ているものは珍しい。

1998/5/23

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