消費不況の経済学

買い渋りはなぜ起きたか

武藤博道 / 日本経済新聞社 / 99/06/17

★★★

消費不況のさまざまな側面を解剖する本

 バブル以降の消費低迷のさまざまな側面を分析する地道な研究。不況のなかでも、多くの消費者は選択的消費を行う機会を待っているという現状がある。

 消費者の1人として言わせてもらえれば、ここ10年のデフレ、いやむしろ「価格破壊」の流れはきわめて嬉しいことだった。個人的な選択的消費のカテゴリでは、輸入音楽CD、洋書、映画のソフトウェア(ビデオ、LD、DVD)、PCとその周辺機器、通信料金が軒並み安くなっており、まるで天国のようである。いまとなっては冗談のような話だが、日本で作られた大型ディスプレイをアメリカから個人輸入した方が、日本のメーカーから直接買うよりも安くつく(アメリカから日本への送料込みで!)という時代があった。私と同じように、支払う金額は減っていても、10年前と比べて消費の内訳が大幅に向上しているという人は少なくないのではないかと思う。このあたりの感覚を、「GDPの大きな部分を占める個人消費の低迷」というよくある言葉とうまく接続できていない論には、どこか問題を感じざるをえない。

 なお、安くなっているとは言えないのが、映画館の入場料金、日本のCD、日本の書籍。

2000/9/9

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