この世の果て

The Last Sanctuary

クレイグ・ホールデン / 扶桑社 / 00/08/30

★★★★

良いのだが、問題あり

 『夜が終わる場所』のクレイグ・ホールデンの2作目である『ラスト・サンクチュアリ』の改題・文庫化。センスのない改題ではある。

 『夜が終わる場所』は1980年代以降の現代的警察小説という枠組みの中で語られるきわめて現代的な話だったが、こちらは追跡劇、ロード・ノヴェルといった枠組みの中で、登場人物たちが型通りでないランダムな振る舞いをし、そのあり方が現代的であるという感じの小説。登場人物たちはアラスカの荒野に作られている新興宗教団体のコミュニティを目指し、それぞれが運命的な結末を迎える。『夜が終わる場所』と比べて物語よりも「問題意識」の方が先走っている気がしないでもないが、悪い感じはしない。

 本書の問題は翻訳が悪いこと。『夜が終わる場所』ではあまり問題を感じなかったのだが、こちらはちょっとひどすぎる。スタイリッシュな文体に真価がある小説/作家だと思われるので、この訳書を読んでも実際のところ読んだうちには入らないのかもしれない。というわけで判断保留。

2000/9/17

TRCの該当ページへ

amazon.comの該当ページへ

検索ページへ 目次へ 前へ 次へ