極北のハンター

Hunter

ジェイムズ・バイロン・ハギンズ / 早川書房 / 00/05/31

★★★

一気読みさせる痛快作

 著者のジェイムズ・バイロン・ハギンズは、日本で出版されるのはこれが初めて。自然の中で生き抜くすべを知りつくした男ハンターが、よくわからない遺伝子操作の結果として怪物になった男を、アラスカの荒野の中で追跡する。実際にそのような怪物が生まれてしまったメカニズムがよくわからないのは、娯楽小説だからどうでもいいのだが、その怪物の性質とか歴史の扱い方は『ネアンデルタール』と同じほど不徹底で非道徳的で鬱陶しい。徹底的に通俗的な冒険小説。

 それにもかかわらず、一気読みした。名作映画の『プレデター』や『エイリアン2』を思い出させる少人数の部隊による追跡と銃弾撃ちまくり、『クリフハンガー』を思い出させる山岳を部隊にした活劇など、1980年代以降のアクション映画の美味しい要素をそのままパクり、読みやすい娯楽作品に仕上げたという感じ。シルヴェスター・スタローンによる映画化が決定しているというが、まさに『ランボー』とか『クリフハンガー』のスタローンにぴったりの、はじめから彼を想定して書いたのではないかと思わせる主人公とストーリーである。レニー・ハーリンが監督すれば、物凄く面白い映画に仕上がるのではないかと思う。脚本にはそうとう手を入れなくてはならないだろうが。

 いろいろな問題を抱えている(怪物が強いわりには弱いとか、登場人物たちの行動が不自然とか)のに一気読みできるということが、冒険小説としての質の高さを示している。そういう意味では高く評価してもよいのだが、私は本と映画にどこか違う態度で接しているようだ。映画の場合には、ひどい設定と脚本なのに面白いと、そうとう感激するのだが、本の場合には、それだけでは満足できないようなのである。

2000/9/30

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