バーニング・ツリー

High Crimes

ジョゼフ・フィンダー / 新潮社 / 00/11/01

これはちょっとしんどいな

 著者は『モスコウ・クラブ』と『ゼロ・アワー』の人。どちらもあまり感心しなかった。

 本書は、民間の弁護士が軍事裁判で夫の弁護を行うという、リーガル・サスペンスというジャンルでは珍しい設定を使っている。しかし、それ以外の要素があまりに陳腐なので、ちょっと読むに値しない本になっていた。アシュレイ・ジャッド主演での映画化が決定されているということだが、たしかにこのところの彼女の路線にはぴったりだとは言うものの、なんというか「話の陳腐さ」という点でも統一性があるということが彼女のファンとしては寂しい。

 帯には「87人虐殺容疑! 全てをくつがえす呆然の結末…」という文句が並べられている。これは究極のネタばらしであって、出版社の良識を疑わしめる行為だが、実のところ本書を読み進めていくと、この文句が示唆しているどんでん返しは容易に予想可能なものであり、しかもその実現方法もおっそろしく陳腐なものなので、これは事実上、出版社が、この本はどうしようもないジャンクであると判断したということを意味しているのだろう。小説の出来が悪いので、ネタをばらしても大して傷がつかない、ということである。哀しいことだ。

2000/10/7

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