干し草のなかの恐竜

化石証拠と進化論の大展開

Dinosaur in a Haystack

スティーヴン・ジェイ・グールド / 早川書房 / 00/09/15

★★★★

まあ例によってのグールド

 明確な啓蒙的意図を持つ「リベラル」生物学者による一般向け読み物というジャンルで、『銃・病原菌・鉄』に続けてスティーヴン・ジェイ・グールドを読むと、たしかにグールドは洗練されているという感じを受ける。私がグールドについて語る場合、この「洗練」という言葉は誉め言葉ではないのだが、グールドと私のどちらに変化があったのかはわからないけど、本書は以前ほど鬱陶しく感じなかった。

 グールドの側に変化があったとした場合、その理由の1つを邪推するならば、この20年ほどのあいだに断続平衡説の分がずいぶんと良くなってきたという事情がありそうな気がする。『大絶滅』の項でも書いたことだが、恐竜の大絶滅の天体衝突仮説は、地質学的な斉一説にとりあえずは疑念を抱かせるという大きな役割を果たした。その他のさまざまな古生物学上の進展もあって、断続平衡説の少なくともいくつかの要素は、以前ほど冷たく扱われなくなっているように思われる。そんなこんなで、グールド本人がずいぶんと「丸くなった」のかもしれない。

 「リベラル度合競争」という観点で、『銃・病原菌・鉄』のジャレド・ダイアモンドとスティーヴン・ジェイ・グールドを比較すると、西欧文化中心主義からの脱却度合という点ではダイアモンドの勝ち、生物学的な進化論の人間社会への適用に対する慎重さではグールドの勝ち。

2000/10/14

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