人権を疑え!

宮崎哲弥編著 / 洋泉社 / 00/10/21

★★

野暮なことをいいなさんな

 宮崎哲弥は「編著」であり、他に呉智英、高山文彦、定方晟、山口宏、片岡鉄哉が小文を寄せている。「人権至上主義」とでもいうべきものに反対する立場の人々が、いろんな角度からねちねちと難癖をつけるという本。

 この措定されている「人権至上主義」が恐ろしく低いレベルに設定されているので読む方もつらいのだが、たしかにそのように低いレベルの「人権至上主義」は現実に存在しているだけに、あまり文句も言えない。呉智英は、ほぼ「人権とは近代に作られた抽象的な概念である」ということだけを言い、宮崎哲弥はこの概念の優等生的な分析を行い、山口宏は現実の刑事手続において人権がどのように蔑ろにされているかを素描している。後の文章はどうしようもない。なお、高山文彦は、1998年の「堺通り魔事件」に関する『新潮45』掲載のルポルタージュで、未成年の犯人の実名を出したために、名誉棄損で訴えられたノンフィクション作家である。

 私としては、呉智英と宮崎哲弥がここに書いているようなことは当然の前提として議論を積み重ねてもらいたいのだが、そういう感じのものはなかった。全体的にきわめて退屈である。あとがきに呉智英が、アムネスティと水俣病のキャンペーン展示会での講演を依頼されたというエピソードを書いているのが一番面白かった、というていどだ。

2000/10/21

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