コフィン・ダンサー

The Coffin Dancer

ジェフリー・ディーヴァー / 文藝春秋 / 00/10/10

★★★

まあそこそこか

 四肢麻痺患者のリンカーン・ライムを主人公とするシリーズの2作目。第1作は『ボーン・コレクター』。『ボーン・コレクター』は現代的な科学的捜査法を極限まで小説のトリックとして使用した小説で、その路線は文書検査士を主人公とする『悪魔の涙』にも引き継がれていたが、この『コフィン・ダンサー』は意外なことに普通のミステリ小説に近づいていた。本書の悪役は、『ボーン・コレクター』や『悪魔の涙』の悪役ほど科学的捜査法の裏をかくことに耽溺していない普通の悪者である。そういう悪者がなお科学的捜査法の裏をかけるという設定を考えるのが本来の正しい道であろう。本作はそれにかなりのていど成功していると言えると思う。

 残念なことに、『ボーン・コレクター』のサスペンスの重要な構成要素であった、リンカーン・ライムと、その手先となって動く警官アメリア・サックスとの間の緊張関係が、本作では平凡な関係に変容してしまっている。シリーズ作品であるがゆえに避けられない変化ではあるし、今後の本シリーズの展開によっては新たなサスペンス要素を導入することも可能かもしれないのだが、少なくとも本作に限って言えばこの平凡さはネガティブに働いている。

 うーむ、どうしてもこういう設定だと『リトル・ドラマー・ガール』みたいなものを期待してしまうのだ。

2000/10/21

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