伐って燃やせば「森は守れる」

田中淳夫 / 洋泉社 / 99/02/26

★★★★

やはり構成に難があるが、熱意がある

 同じ著者の、『「森を守れ」が森を殺す』と同じ路線の本。タイトルは、森林を守るためには林業が必要であるということを言っている。

 基本的に、自然愛護・環境保護論者の情念的な宣伝文句に対する異議申し立てである。一般に、まともな環境保護論者であれば、自分たちの陣営の宣伝文句の多くが、それ単独ではそれほどの真理ではないということをよく知っている。そして、それがかえって嫌らしいと反発する人がおり、どちらの立場から議論に参加するかはだいたいのところ政治的な心情による。この著者の政治的心情のベースは林業にある。

 これは、最近になって、環境保護運動のなかで「持続的利用」とか「持続的再生産」みたいな言葉が流行しているのと同じ流れに属している。焼き畑農業が自然破壊の代表的ケースとして論じられていたのは、そんなに昔のことではない。その頃と比較すると、森林の生態系に関する(一般社会に流通する)知識は格段に充実したが、それと同時に、「環境に優しい利用のしかた」が可能であるという信念もずいぶんと強まったように思う。

 『「森を守れ」が森を殺す』もそうだったが、本書も、著者の立場を補強するための論拠のみを引用して書かれている本であり、個別の議論を取り出すと、「そこまで言って大丈夫かどうかよくわからない」というものがいくつか見られる。

2000/10/28

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