軍学考

兵頭二十八 / 中央公論新社 / 00/10/10

★★★★

熱い本だが、よくわからない

 『「日本有事」って何だ』の著者による「軍学」論。国家の安全保障に関連する戦略的・戦術的な各種フィールドすべてをカバーするフィロソフィカルな思想体系を指して「軍学」と呼んでいるようだ。話は多岐にわたっており、まとまりがないが、内容はやたらに細かい。興味深い話は随所にあるが、残念なことに、私の側の知識の不十分さのせいで、それが妥当な議論なのかがまったく判断できない記述がとても多かった。

 あとがきによると、本書は、凄い本なのに、その凄さを見抜くことができた人がほとんどいなかった『日本の防衛力再考』(未読)という自著の解説書として位置づけられているようだ。もし『日本の防衛力再考』という本が本書と同じような文体と構成で書かれているのであれば、それが評価されなかった原因は著者の側にもあると思う。要するに文章がうまくないのだ。文章がうまいかどうかが、内容とはあまり関係ないのはもちろんのこととして。

 でまあ、これは奥深い分野であり、私には足を踏み入れる意志と勇気と暇がないので、普通の人にもわかる他の本に頼るしかないという結論。でも一言注文をつけるとしたら(少なからずの著作家にも言いたいことだが)、何か主張をするときには、世の中の対立する諸説も併せて紹介し、それらとの比較を通して自らの主張の論拠を述べる、というスタイルをぜひともとってもらいたい。

2000/11/4

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