憲法と戦争

C・ダグラス・ラミス / 晶文社 / 00/08/30

★★★★

ごくまっとう

 憲法第9条支持派のリベラルによる本。著者は日本に長く住んでいるアメリカ人。

 「理想的平和主義者」"ideal pacifists"などと表現されるタイプの、最もラディカルな部類に属する戦争放棄論。リアリスト的な見地からの現状批判も程よく交えた、きわめてバランスのよくとれた議論なのだが、第9条を支持する積極的な根拠を論じる部分はやはり「書生論」に見える。結局、こういうラディカルなことを言おうとしたら、現実の状況を踏まえる限り、それは「アメリカ帝国主義批判」にならざるをえないのであり、「自由主義史観」の人々と同じようなことを言わざるをえなくなる。だからこそ、リアリスト的な第9条支持者は、あまりラディカルなことを言わないようにしてきたのだ。その点で、「自由主義史観」の人たちがある種の「タブー」なるものを感じ取るのは正しいのだと私は思っている(著者は最後の方で、そうではないのだと言っているが、ここのところは納得できなかった)。

 とはいえ、1990年代に入って、第9条支持者にとって事態はあまり楽観できないところにまで来たように思う。そのときに、著者のようにウェーバーがどうのホッブスがどうのと言っていては、日本国民を納得させることはできないだろう。評論家がこういうものを援用して自らの論の権威づけをするのは別にいいのだが、この陣営はもっとプラグマティックな論拠を必要としている。アメリカ帝国主義批判の方は、いちいちやらなくても自由主義史観の人たちがやってくれる。

2000/11/4

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