脳の時計、ゲノムの時計

最先端の脳研究が拓く科学の新地平

The Missing Moment: How the Unconscious Shapes Modern Science

ロバート・ポラック / 早川書房 / 00/10/31

★★

ちょっと説得力に欠けるか

 著者は『DNAとの対話』の人。原題の副題からわかるように、科学者の「無意識」が科学の進み方に影響を与えている、ということを論じる形而上学的な科学社会学。フロイト流の無意識を復権させようという企てだが、あまり説得力は感じられなかったが、それよりも問題なのは、実証派の科学社会学でも何とか説明が付きそうな現象を無理矢理フロイトっぽい話に持っていっているところ。たとえば、「人間は無意識のうちに死を怖がっており、科学者もその例外ではない。そのために科学者の行う研究は、死の観念を抑圧するような方向に行きがちであり、それが医学的研究の姿を歪めている」というタイプ。

 しかし、意識に関連する脳研究をレビューしている第1章と第2章は非常に面白かった。これは本書の構成では、フロイト流の「無意識」を科学の舞台に乗せるための準備段階に相当しているのだが、そのことを考えずに分離して読めばエキサイティングな話であることは間違いない。

2000/11/18

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