アメリカを幸福にし世界を不幸にする不条理な仕組み

American's Political Mission, The New Economy and Japan

カレル・ヴァン・ウォルフレン / ダイヤモンド社 / 00/12/07

★★★

いきなりヨーロッパ文化人になった

 「日本論」の専門家だと思っていたカレル・ヴァン・ウォルフレンが、いきなりヨーロッパ文化人になってグローバリゼーションを批判したのでかなり驚いた。本書は英語から翻訳された本だが、日本人を対象読者とした日本オリジナルの出版物。内容は、ヨーロッパ文化人的な立場からのアメリカ主導型グローバリゼーション/ニュー・エコノミー批判であり、依然として私のなかでこのジャンルのトップは『グローバリズムという妄想』である。

 ただし、非日本人が書いた本の中では、日米関係について詳しく論じている点が珍しいということになると思う。また、日本人が書く(最近の)グローバリゼーション批判本は、批判の対象としてアメリカのみを取り上げることが多いように思うが、本書は日本そのものもグローバリゼーションの荷担者と受益者として批判している点が珍しいということになるだろう。

 グローバリゼーションをアメリカン・スタンダードの世界布教として見てそれを批判するという立場を、日本独自のシステムの批判というウォルフレンの従来の立場からをどう融合させるかが興味深かったのだが、どうやらウォルフレン自らこの点については明解な結論を出し得ていないという感触を受けた。かろうじて、グローバリゼーションへの対抗勢力としてのNGOを賞讃するというような搦め手が、日本システムの改良策と合致するというようなつながり方をしているぐらいだ。

2000/12/23

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