目からウロコの日本経済論

金融政策は魔法の杖か

村山昇作 / 中央公論新社 / 00/12/20

★★★★★

日銀からの反論

 著者は日銀の調査統計局長。あまり評判が高いとは思われない最近の日銀の政策の弁解である。かなりの部分が、さまざまな日銀批判に対する反批判で、とりわけ批判のベースになっている統計データの使い方についての注釈が多い。ここの部分は非常に面白いのだが、統計データの信頼性が低いことが立証できたとしても日銀がすぐに有利になるわけではない。

 もう1つ重要なのは、副題の「金融政策は魔法の杖か」が示しているように、金融政策の限界を実務家の立場から解説している部分。特に、一般的な世論が金融政策と財政政策の二元論をベースにしているため、財政政策をやってもダメならばそれは金融政策が不十分なせいである(またはその逆)という発想になりがちなことを批判している。これは日銀の影響力の小ささを自ら宣伝しているかのような議論ではある。

 全体として「優秀な官僚」という感じ。読んでも勇気は出ない内容だが、面白い本だった。ただし巻末にリチャード・クーとの対談が載っているのがちょっと困る。

2000/12/30

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