わからなくなってきました

宮沢章夫 / 新潮社 / 00/01/01

★★★

2つか3つ、面白い文章があるが

 1997年の単行本が文庫化されたもの。『茫然とする技術』と同じエッセイ集。

 全体的な印象は『茫然とする技術』と同じ凡庸なユーモア・エッセイというものだが、長めのものには面白いものもあるので、この人は締切に追われた流し書きをしているということなのかもしれない。

 『呪われた詩人尾崎放哉』という本の書評が入っており、ここで紹介しているたとえば「すばらしい乳房だ蚊がいる」とか「なんにもない机の引き出しをあけて見る」とか「ひげがのびた顔を火鉢の上にのっける」とか「墓の裏に廻る」といった句はやっぱりこの本全体よりもインパクトが強いんである。本書に収録されているエッセイのいくつかは、このような句に似たものを作り、それに解説を付け加えて分量を水増ししているという印象を与えるのだが、当然のことながら、こういうものに解説を付け加えたら台無しだ。

 しかし、1編のエッセイとして納品するためには、あるていどの分量を用意しなくてはならないという制約があっていろいろと難しいのだと思われる。

2001/1/6

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