Mr.クイン

Quinn

シェイマス・スミス / 早川書房 / 00/08/31

★★★

そこそこではあるが

 著者のシェイマス・スミスのデビュー作。アイルランドを舞台にした、Gerd Quinnという名前の犯罪者の視点で書かれた悪漢小説。手の凝った計画を練る犯罪計画小説でもある。

 口語調の一人称で犯罪の進展が語られるのだが、「なぜ語り手はこのことを知っているのか」という疑問が数ヶ所で出てきたのと、犯罪計画そのものがあまりスマートでないのが気になった。殺し屋の手の込んだ計画というテーマでは、どうしてもトマス・ペリーの『逃げる殺し屋』や、ローレンス・ブロックの『殺し屋』などのシリアスなハードボイルドと比較してしまう。この『Mr.クイン』は本格推理小説を逆から描いたパロディである。そして本格推理小説で往々にして感じるのは、なぜ犯罪者はわざわざこんなに手のこんだトリックを仕掛けたのかという疑問なのだが、本作ではその種の疑問への解答を提示するいいチャンスであるのにもかかわらず、あまり気の利いた答えはない。

 映像を意識していると思われる、映画にしたら面白そうなシーンが多い。

2001/1/13

TRCの該当ページへ

amazon.comの該当ページへ

検索ページへ 目次へ 前へ 次へ