ジョージ・ブッシュ

私はアメリカを変える

Charge to Keep,A

ジョージ・W・ブッシュ / 扶桑社 / 00/10/30

★★★

まあ要するに選挙用の自伝

 次期アメリカ大統領のジョージ・W・ブッシュが1999年11月に出版したもの。大統領選挙に焦点を当てた自伝である。訳本は全体の2/3の抄訳。また、訳本では著者としてジョージ・W・ブッシュの名前のみが記されているが、原著にはKaren Hughesという人との共著であることが明記されている。

 まあ良くも悪くも選挙対策というはっきりした目的を持つ本なので、内容をとやかく言っても始まらない。個人的には、1998年2月に死刑が執行されたカーラ・フェイ・タッカーのケースについての、テキサス州知事としての感想が記されている第八章「二人の死刑囚」は興味深かった。彼女は死刑の1か月ほど前に"Larry King Live"に出演し、自分がキリスト教信者として生まれ変わったことを世間に訴えた。私はこの番組をたまたま見たのだが、死刑執行がこっそりと行われる日本との違いに改めて驚いたものだった。

 彼女は小柄の可愛いブロンド女性で、死刑囚というイメージからかけ離れているだけでなく、自らの罪を悔い、自分はキリスト教を通して救われたのであり、世の中の人々に役立つ行いをしていきたいというきわめて前向きな姿勢を保っていた。死刑執行の日には、テキサス州知事のブッシュが恩赦を行うのかどうかが注目されたが、結局死刑は執行された。私にとってのブッシュのイメージはこの件でかなり固まった。政治的なダメージを恐れずに筋を通す、というイメージである。というよりも、この種の件で筋を通さないと、彼には政治的なダメージがある、ということだ。

 民主党のゴアと共和党のブッシュが戦った2000年の大統領選挙では、フロリダ州での開票結果が僅差になったために決着するのが遅れ、双方ともに政治的なダメージを負ったとされている。経済の失速が明らかになりつつあるアメリカの国政を引き継いだブッシュが、今後4年間でどのような行動をするのかは非常に興味深いところだ。

2001/1/13

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