原発事故はなぜくりかえすのか

高木仁三郎 / 岩波書店 / 00/12/20

★★★★

まあこれは仕方ない

 著者はガンにかかったことを知り、『市民科学者として生きる』という自伝を書いたが、原子力行政の批判をライフワークとしてきた著者にとってはきわめて皮肉なことに、本の出版の10日後にJCOの臨界事故が発生した(この事故については『臨界19時間の教訓』も参照)。本書は、2000年の夏に著者がテープに口述したもの。ゲラが出る前の2000年10月8日に亡くなったという。

 タイトルの「原発事故はなぜくりかえすのか」という疑問に対する答えは、技術者の問題というふうに要約できそうだ。原子力研究の初期には、研究に携わる科学者と技術者に、その技術が社会とどのように関わるのかということを考える機会がまったくなかったという。これは日本における原子力研究が国策として上から押しつけられたものであることと、研究者がサラリーマンとしての保身に走っていたということによる。またJCOの事故に象徴されるような最近の「気の緩み」については、研究者・技術者の「地力」の弱体化を嘆いている。特に化学者である著者は、物理学者の大雑把さに辟易しているようで、かなり厳しい批判の言葉が書き連ねられている。

2001/1/13

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