小学生に授業

河合隼雄、梅原猛 / 小学館 / 98/06/01

★★

興味深いけど、果たして何の意味が?

 国際日本文化研究センターの教授陣が、同センターの隣にある小学校の5年生と6年生を対象に行った授業の様子を記録した本。

 それぞれ次の題目で授業を行っている。梅原猛「学問の楽しさ」、山折哲雄「宮沢賢治」、河合隼雄「道徳」、尾本惠市「自然に学ぶ」、井波律子「三国志」、芳賀徹「俳句」、木村汎「交渉」、山田慶皃「時を計る」、安田喜憲「地中の花粉」

 小学生たちはどのように反応したのだろうかと心配になる授業が多かった。河合隼雄は意識開発セミナーの小型版みたいなことをやってるし。でも、どの授業も、小学生たちの思い出にしばらくは残ることだろう(内容を全部忘れたとしても)。こういう授業が年に一度と言わず、月に一度ぐらいあったらいいんだろうなと思った。

 アメリカ映画によく出てくるが、父親(母親でもよい)が子供の学校のクラスで自分がしている仕事について語るというイベントがある。これと同じような刺激が、この本の授業の対象となった小学生には与えられたはずだ。逆に言えば、この本で行われているような授業を、小学校の1年を通じて日常的に行うのは無理だし無意味だろう。

 生徒とのインタラクティビティが一番活発だったのが、芳賀徹の「俳句」だった。生徒に俳句を作らせて、それを先生が批評し、勝手に変えてしまったりする。この手の、「学校の外の権威」をそのまま打ち出した授業が一番いいのではないかと思った。それ以外は、普通の講義を小学生のレベルにまで落とした、という感じのものだ。技術論的にはいろいろと興味深い論点もあると思うが、それはこれらの学者たちにはかえって向いていない分野だろう。

1998/6/7

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