The Parrot's Lament

And Other True Tales of Animal Intrigue, Intelligence, and Ingenuity

The Parrot's Lament

Eugine Linden / Plume / 00/01/01

★★★

動物の意識に関連する逸話のコレクション

 著者のユージン・リンデンはチンパンジーに手話を教える研究の余波を描いた『悲劇のチンパンジー』の人。本書"The Parrot's Lament"、すなわち「オウムの嘆き」は、オウムにも「嘆く」という精神的な活動と、その基盤となる意識、認知、記憶、感情などのさまざまな精神的なメカニズムがあるのだ、という意味である。オウムだけでなく、霊長類やイルカをはじめとするさまざまな動物が、そのような「高度」な精神の動きを見せたと思われる逸話を集めている。

 これらの逸話はいちおうの筋道を付けて描かれるのだが、あまりうまく整理されておらず、軽い読み物という感じになっている。表紙と裏表紙に載っている讃辞が、カール・ハイアセンとデイヴ・バリーのものだということが象徴しているように、そのような逸話を面白おかしく紹介することが主眼である。しかし、この手の話は最初からおかしさを追求したものよりも、真面目なスタイルで書かれたものの方が「おかしい」ことが多い。この読書メモで取り上げているものの中では、たとえば手話をするチンパンジー、ワショーらを育てたロジャー・ファウツの『限りなく人類に近い隣人が教えてくれたこと』が面白い。ワショーについては、本書でも言及されている。

 また、動物行動学・行動分析学の体系的な知見を使ってさまざまな動物のトレーニングを行っているカレン・プライア(『うまくやるための強化の原理』)についての言及は多い。プライア本人はおそらくかなりハードな行動主義者なのだが。また、『動物園にできること』で描かれていたような、現代的な動物園の方法論に言及している箇所も多い。語られる逸話の多くは、研究者か、動物園の飼育係が経験したものである。

 本書は最初から、行動科学の方法論は、本質的に、動物の高度な精神機能を扱うことができないという仮説に基づいて、逸話をたくさん紹介するという立場に立っている。そのため、ハードな証拠が欲しい読者は不満を感じるかもしれない。私も、そのような仮説には共感しないでもないのだが、もうちょっと何とかならないかと思った。個々の逸話には面白く、適切に思えるものもあれば、あまりそうとは思えないものもあった。

 念のため。動物の「高度な精神機能」についての言説には、「うちのネコ、私の考えていることがわかるのよ」というものから、ガチガチの行動主義者までのスペクトルがあるが、本書は行動主義者の極から中間地点の方に歩み寄ろうというもので、最低限の科学的な態度は確保されている。しかし、これでもまだ動物園の飼育係の実感からすれば、行動主義寄りに見えるかもしれない。彼らは、動物には「高度な精神機能」があると仮定した方が、毎日の仕事がうまく行くという現実主義的なところから出発して、そのような実感を培っているわけだ。そして、「高度な精神機能」という概念は、実はそういうインタラクションの中での機能として操作的に定義してしまった方がいいのかもしれないのである。

2001/1/13

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