David E. Kelley

The Man Behind Ally McBeal and The Practice, Chicago Hope, Picket Fences and L.A. Law

David E. Kelley

Josh Levine / ECW PRESS / 99/01/01

★★★

まあ興味深い

 TVプロデューサー/脚本家のデヴィッド・E・ケリーの伝記(のようなもの)。1999年に出版された本で、とうぜんながら"Ally McBeal"(『アリーmyラブ』)の成功がクライマックスに置かれており、同番組のシーズン2の途中までの各エピソードの概要が収録されている。基本的に便乗本、タレント賛美本であるが、事実関係を知るための情報源としてはそこそこ便利だった。

 なお映画メモでは、デヴィッド・E・ケリーが関係している映画として、『逢いたくて』"To Gillian on Her 37th Birthday"、『U.M.A.レイク・プラシッド』"Lake Placid"、『ミステリー、アラスカ』"Mystery Alaska"を取り上げている。これらの映画から判断するに、やはりデヴィッド・E・ケリーはTV向きだ。彼が"Ally McBeal"以前に関与したTVシリーズには、"L.A. Law"、"Picket Fences"、"Chicago Hope"、"The Practice"がある。

 本書で何度も言及されている観念として、1990年代には、映画よりもTVシリーズの方がいくつかの面で「優れた」メディアとなったというものがある。もちろん依然としてTVは映画や演劇よりも「格下」と見なされているのだが、たとえば"The Practice"の主役に抜擢されたディラン・マクダーモットは、本格的な演技指向の役者であるにもかかわらず、あまりにもハンサムなので、映画界では「ハンサムなでくの棒」という範疇を超えた役をもらうことができなかった。それが"The Practice"によって救われた、という流れでの解説がある。また"Picket Fences"で主役を演じたキャシー・ベイカーは、映画指向の役者ではあるけれども、このシリーズの脚本を読んで「読まされる映画の脚本の90%よりも優れている」と思ったと記されている。

 私はTVシリーズに疎いのではっきりとは認識していなかったけれども、たしかに1990年代のTVシリーズ(もちろんアメリカのね)には、これまでのTV番組とは違う高いクオリティを持ったものがたくさん現れているような気がする。そしてデヴィッド・E・ケリーがこのトレンドに決定的な影響を与えた人物であることは間違いなさそうだ。

 映画ファンとしては複雑な思いがする。たとえば、最近見た『ジェーンに夢中!』という映画は、カリスタ・フロックハートが"Ally McBeal"よりも前に主演した、どうってことのない低予算インディー映画なのだが、この映画でのフロックハートからは才能が滲み出ているようで、オフ・ブロードウェイの演劇界での活躍が偲ばれる存在感がある。この人が映画では端役しかもらえず、主演できるのは『ジェーンに夢中!』レベルの映画だったということを考えると、彼女が"Ally McBeal"のアリーの役を演じることができたということは、TV界の優秀さを示しているようにも思う。それでも、どれだけ下手な作りであっても、『ジェーンに夢中!』の方が"Ally McBeal"よりもフロックハートの良さを引き出しているように見えるのだ。

 "Ally McBeal"で秘書のエレイン役を演じているジェーン・クラコウスキーについても、『ダンス・ウィズ・ミー』での彼女の役は"Ally McBeal"のエレインよりも小さい役といって良いが、この映画の中での彼女の踊りは"Ally McBeal"での歌や踊りよりもずっと美しい。

 おそらくTVドラマのファンにとっては、私がこれらの映画に見ている長所がまさに短所と感じられるのだろう。『ジェーンに夢中!』のリアリズムは、カリスタ・フロックハートが感情移入の不可能な人物として描かれていると解釈され、『ダンス・ウィズ・ミー』の(ミュージカル映画としてかなり質の高い)踊りのシーンは、編集のテンポが悪いなどと認識されるかもしれない。

2001/1/27

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