緋色の記憶

The Chatham School Affair

トマス・H・クック / 文藝春秋 / 98/03/10

★★

これはあかん

 『夜の記憶』『夏草の記憶』に続けて読んだ。1人称の謎明かし小説が抱える問題については、『夏草の記憶』の項を参照。ただし、本書で明かされる「謎」はそれほど大きなものではなく、最初にその手がかりが与えられた時点で予期しうるものなので、『夏草の記憶』ほど致命的な影響は与えていない。

 しかし、普通の回想小説としてこれを読まされたら、不必要なまでに派手な文章を並べた甘ったるい感傷的内容という印象しか残らないような気がする。

 というわけで、『夜の記憶』が成功したのはたまたまのことだったという結論になりそう。本書を読んだ感想は、この著者の最初の頃の数冊を読んで関心をなくした理由そのもの、つまり大袈裟な文体に内容が付いていっていない、というものだった。

2001/2/3

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