Die Trying

Die Trying

リー・チャイルド / Jove Books / 98/01/01

★★★

好調ではあるが

 著者のリー・チャイルドの2作目で、『キリング・フロアー』の続篇。前作で活躍した元海兵隊員Jack Reacherが、今度はシカゴのクリーニング屋でたまたまぶつかった若い女性の誘拐に巻き込まれる。

 『キリング・フロアー』と同じく、ハードボイルド小説というよりも楽天的な冒険小説。善人は徹底的に善でタフであり、悪人は徹底的に悪い。誘拐が行われてから犯人たちの本拠地に到着するあたりまではかなり面白い。しかしそこから後、ストーリーの組み立てがちょっとおかしくなり、そうすると善人たちのマッチョな描写が急にバカバカしく思えてくる。後半になると、できの悪いシュワルツェネッガー映画のようなご都合主義になり、何が起こっても驚けなくなった。

 しかし本作については、前半(というよりも冒頭100ページぐらいか)の緊迫感がJack Reacherの非現実的な活動に説得力を与えていたことをポジティブに受け止めたい。現代のハードボイルド小説や冒険小説では、主人公に弱みや翳りを持たせることによって描写とストーリーの説得力を高めるのがとうぜんのことであり、そのような中で弱みも翳りもまったくなく、超人的な体力と頭脳を持つ男を主人公として設定していることは大きなハンディキャップなのである。

 なお文体はそうとうバカバカしい。『キリング・フロアー』の原文は読んでいないのだが、もし同じような調子だったのだとしたら、訳者が調整を加えていたのかもしれない。

2001/2/17

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