バカのための読書術

小谷野敦 / 筑摩書房 / 01/01/20

★★

まとまりがない

 『もてない男』『恋愛の超克』の著者によるブックガイド。タイトルの「バカ」とは、「哲学とか数学とか、抽象的なことが苦手、という人」(8ページ)。呉智英の『読書家の新技術』への恩返しであるとのこと(18ページ)。要するに文系正統派教養指向の読書指南である。

 「サイクルが一周した」ということだろう。それはどちらかといえば良いことではあると思う。しかし、本書がポスト「ニューアカ」の読書指南の本として優れているかどうかは別問題。この本には、構成がきれいでない、カテゴリが偏っている、業界内輪話が多すぎる、そして何よりも「推奨している本のリスト」がばらばらに統一されないまま散らばっていて不便だという欠点がある。気楽に書いたエッセイの集まりという印象が強い。それにしても、本書に挙げられているような本を読んで教養を身に着けると、渡部昇一とか呉智英とか小谷野敦のような人になるのだとしたら、やっぱりどこかに何か問題があると思わざるをえない。

 いちおう「読書メモ」のサイトを作っている私としては、「読書術」に関する自分なりの考えを記しておくべきなのだろうけれども、うまくまとまらない。この「読書メモ」に取り上げている本たちとそれらに対する評価は、私の人生の直近の3年間を反映しているに過ぎず、その背後には紆余曲折があったわけである。何よりも、私自身にも、高校生のときに『読書家の新技術』を本気でブックガイドとして利用していたという恥ずかしい過去があって、いろいろと複雑なのだ。というわけで、また別の機会に。

2001/2/17

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