サラダはもう食べられない

遺伝子組み換え食品の脅威

Genetically Engineered Food: Changing the Nature of Nature

マーティン・タイタル、キンバリー・A・ウィルソン / 主婦の友社 / 00/07/01

★★

消費者向けガイドか

 著者の2人はともにアメリカのNGO "Council for Responsible Genetics"のスタッフ。ラルフ・ネーダーがまえがきを書いている、遺伝子組み換え食品に関する消費者向けガイドである。"What You Need to Know to Protect Yourself Your Family and Our Planet"という副題が付いており、最後の方には消費者として身を守るために何をすればいいのかという指針が書かれている。

 アメリカの消費者を対象とした本なので、日本の消費者に直接適用することはできないけれども、基本的な事実を抑えるには手軽な本である。のだが、とうぜんながら著者らの立場には強いバイアスがかかっており、科学的な立場からの客観的な評価を望むことはできない。別に悪い本ではないのだが(たとえば、さすがに『買ってはいけない』のようなひどいものではない)、初心者用にはもうちょっと適した本が他にもありそうな気がする。探してはいないんだが。

 なお、アメリカにおける遺伝子組み換え食品(genetically engineered foodまたはgenetically modified foodなど)に対する一般的な違和感の背後には、食品メジャーやバイオテクノロジー会社、そしてそれを規制する立場にあるはずの政府機関(主にFDA)に対する根強い不信感がある。1990年代は、アメリカが規制緩和とビジネスの自由化を大きく前進させた時期であり、遺伝子組み換え食品の普及とそれに対する反発は、この動きと連動したものである。だから、遺伝子組み換え食品そのものだけでなく、もっと大きな市場原理に関するイデオロギーの対立がディベートをややこしくしている。その部分を除けて素直に考えれば、やっぱり「やばいかもしれないんじゃないの?」と思うのが当たり前だと思うんだが、世の中には東海村やその他の原発集中地域に住んでいる人もいるということで。

2001/3/3

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