ドリームチーム弁護団

Special Circumstances

シェルドン・シーゲル / 講談社文庫 / 01/02/15

甘いリーガル・サスペンス

 著者は弁護士で、これがデビュー作。紹介文には「グリシャムを凌ぐと絶賛の法廷推理」とある。たしかにグリシャムのいくつかの作品は凌いでいるかもしれないが、ベンチマークにするにはレベルが低すぎるんじゃないか?

 リーガル・サスペンスというよりは、『仕事くれ。』のダグラス・ケネディのような軽薄な中年男性向けロマンスといった方がよい。やたらに分厚い文庫本だが、それは著者が端折るべきところを端折らずにだらだらと書いているため。普通の小説家ならば省略話法を使ってすっとばす裁判の細かい進行、とりわけさして重要ではない証人の証言をいちいち描いており、最初のうちはこれが何か重要な仕掛けに結びつくのではないかと思って期待していたのだが、結局そういうことはなかった。要するに物語の語り手としてのスキルがないだけなんだと思われる。

 訳者は古屋美登里。訳者あとがきで本書を誉めているけれども、本気ではないだろう。というか、仕事だからしかたないとはいえ、これを誉めたらクレディビリティーが落ちるぞ。

2001/3/10

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