脳外科医になって見えてきたこと

When The Air Hits Your Brain

フランク・ヴァートシック・ジュニア / 草思社 / 99/06/25

★★★★

新鮮みはないが、良い本だった

 著者は脳神経外科医。本人の医学生からレジデントあたりまでの時期の体験を描いた「入門もの」ジャンルの本である。最近読んだ『失語の国のオペラ指揮者』の著者は神経科医だったが、こちらは脳神経外科医。この2つの職業の間にはかなりの緊張関係があるらしく、どちらの本にももう一方の職業に関する言及がある。原著の出版は1996年、翻訳書の出版は1999年の少し古い本で、本棚の整理で発掘して読んだものなのだが、医者の書いたこの手の本のなかではかなりレベルの高い内容だった。

 著者が神経科の研修のために、イギリスの病院に勤務していたときのエピソードがなかなか興味深い。その正確な時期は不明だが、『病院沈没』のトピックである医療革命がすでに始まっていたアメリカと、それに追いついていないイギリスの間の違いを、医者個人の立場から観察している。著者はアメリカ人なのでアメリカン・ウェイに対して好意的だが、これには著者が外科医であるということも関係しているかもしれない。

 新鮮みには乏しい内容だが、医者が書いた自伝的エッセイ本の成功例として記憶に残りそうだ。

2001/3/10

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