こんな英語ありですか?

謎解き・英語の法則

鈴木寛次 / 平凡社 / 00/11/20

★★

興味深いが、目的を達成していない

 妙な本ではある。著者は「英語、ドイツ語、オランダ語などの西ゲルマン語の比較言語学を研究している」という英語教師。本書は、「英語のほとんどの表現は、数学の公理・定理と同じように解法可能です」という主張のもと、英語に見られる破格の表現がどのような根拠を持っているかを、英語へのゲルマン語(古期英語: 700〜1000年)とフランス語(中期英語: 1100〜1500年)の影響という観点から解説している。

 その解説は、とうてい「数学の公理・定理と同じよう」なものとはいえない、雑然とした記述になっている。そもそも、本書がターゲットとする英語が不得意な人は、"Your is right"とか"Me is cold"のような破格な表現が存在するということ自体を知らないだろうし、そういう人にゲルマン語の影響を説いても意味がないだけでなく、そういう表現がありうるということを知ってしまうとかえって混乱するだろう。

 とはいえ、内容は興味深い。これまであまり明確に言語化していなかった、ゲルマン語と古期英語(およびその残存物)の関係のしかたが、いろんな点で明解に解説されていて参考になった。あまり実地に役立つ知識ではなさそうだが。

2001/3/17

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