医療サービス市場の勝者

米国の医療サービス変革に学ぶ

Market-Driven Health Care: Who Wins, Who Loses in the Transformation of America's Largest Service Industry

レジナ・E・ヘルツリンガー / シュプリンガー・フェアラーク東京 / 00/04/19

★★★

 原題が示しているように、マーケット・ドリブンなヘルスケアを主張する本。アメリカでは良く売れて大きな反響を呼んだということだが、実はこれはビジネス書/マーケティング本であった。Springer-Verlagってこんな本も出すのかと少し驚いた。

 著者の主張は、(1) 医療サービスに競争的な市場を導入すれば事態が良くなる、(2) その際には、他業種で成功している「フォーカスト・ファクトリー」が競争力を持つ、ということである。これに対する異論とか注釈はいろいろとあるはずだが、著者はコンサルタント/経営工学屋さんなので、自分の主張を打ちだすことにしか興味を持っていないようだ。

 本書の興味深い点は、(1) 1990年代のアメリカにおける、経営工学屋さんの主張の1バリエーションを読むことができる、(2) 1990年代のアメリカにおける医療サービスの現状を知ることができる、ということだろうか。とりわけ、1990年代に入ってアメリカ発のこの手の議論でやたらと耳にするようになった、「消費者の選択の自由」みたいな言葉がどのようなコンテキストで使われるのかがよ〜くわかった。『病院沈没』で描かれていたような、日本の医療の「グローバル化」に備えての学習教材として便利である。

 なお、監訳者あとがきの冒頭の部分を引用。

一昨年四月、四〇年間にわたる銀行・証券業界での実務生活に終止符を打って大学教授に転身しましたが、最初の課題は広島国際大学の医療経営学科で担当する「国際経営論」の講義と演習のテーマを定めることでした。何をテーマにどんな内容を教えればよいのか、医療経営の世界は全く初めての私には焦点が定まらず、弱っておりました。そんな折にニューヨークでインベストメント・バンカーとして活躍している旧友の神谷秀樹さんが、今米国で本書『医療サービス市場の勝者』の原著「Market-Driven Health Care」が大変な人気で、本屋の店頭に積上げられてよく売れていると言って、一冊進呈してくれました。

 正直で好感が持てるという評価もありうると思うが……

2001/3/24

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