なぜ美人ばかりが得をするのか

Survival of the Prettiest: The Science of Beauty

ナンシー・エトコフ / 草思社 / 00/12/08

★★

ちょっと厳しいポップ心理学

 「美人」あるいは「人の美しさ」をテーマとするポップ心理学。行動生態学・進化心理学の知見をベースにしている、『優生学の復活?』が心配しているような「生物学的決定論」寄りの本で、このジャンルだととりわけフェミニズム流の文化的決定論が仮想敵となる。

 翻訳出版の時点で削除されたのかもしれないが、参考文献・引用文献のリストがないこともあって、隙が大きすぎるという印象を与える本だった。特に、人間を被験者とする心理学的実験や調査の結果をどのように引用して利用するかという点での難しさを痛感した。偏見であることを承知で言えば、その手の研究は結論先にあっての予定調和的なものが少なくなく、それらを本書のような明確な主張を打ち出す本の根拠として引用するのは八百長くさいのである。

 また、著者はアメリカ人であり、これはアメリカ人の読者を対象として書かれた大衆向けポップ心理学の本なのだが、日本人の立場として読んでいると、自文化中心主義からの脱却がいかに難しいかということがよくわかる。最近では『銃・病原菌・鉄』に関して同じような苦情を述べたが、こちらはもっとまずい。まあ、竹内久美子級の本ということで。

 なお、訳者あとがきから、訳者が原題の意味を理解していない様子がみてとれる。"Survival of the Prettiest"は、"Survival of the Fittest"、すなわち「適者生存」(または「最適者生存」)と訳される言葉をもじったものだ。

2001/3/31

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