Dance for the Dead

Dance for the Dead

トマス・ペリー / Ivy Books / 96/01/01

★★★★★

安定して面白い

 『蒸発請負人』のジェーン・ホワイトフィールド・シリーズの2作目ということになる。出版されたのは1996年で、邦訳はまだ出ていない。

 この2作目では、さまざまな理由から身を隠さなくてはならなくなった人々を助ける「ガイド」の仕事の具体的なやり方がさらに掘り下げられている。マイクル・コナリーの『Void Moon』と同様に、私はこのような「手順小説」が好きなので、どうしても評価は高くなる。本作のストーリーの導入部はテクニカルな面できわめて巧妙で、全体的なプロットも前作よりも洗練されている。ちなみに前作の最後の最後に出てきた少年が今回のクライアント。

 ただ全体的な枠組みはほとんど同じと言ってよい。基本的に、この「ガイド」の仕事もそれ以外の仕事も、円滑に進んだ場合にはドラマにはならないわけである。このためこのシリーズでは、この仕事が失敗したケースを巡るエピソードしか書けないんじゃないかと思う。そうすると、シリーズが回を重ねるにつれ、ジェーン・ホワイトフィールドってひょっとしたら無能なんじゃないかという印象が生じてくるのが怖い。「仕事が失敗する」→「背後に悪い奴がいる」→「反撃する」以外のストーリーが今後出てくるのか、楽しみなところだ。

 今回、1995年の『蒸発請負人』以降のトマス・ペリーの全著作をまとめて買ったのでしばらく楽しめそう。なお、『蒸発請負人』についてだが、原文と対照していろいろと驚愕するところがあったので、記述を追加しておいた。

2001/4/7

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