台湾論と日本論

謝雅梅 / 総合法令 / 01/04/05

★★★

ちょっと背伸びか

 著者は『日本に恋した台湾人』の人。名前は「シェ・ヤーメイ」と読む。

 『日本に恋した台湾人』には好感を持ったのだが、あれから著者は中途半端に「お勉強」しちゃったらしく、本書に小林よしのりとの対談が収録されるという事態に至ってしまっている。どうやら小林よしのりの台湾に関するマンガにも登場人物として出てくるようだ。そういうわけで、個人的な体験をベースに語るその姿勢が好ましかった『日本に恋した台湾人』とは対照的に、本書は『台湾人と日本精神』の蔡焜燦とか李登輝を代弁しているような内容になってしまった。ちょっと悲しい。

 なお、台湾における日本観のせめぎあいについての背景知識としては、『一つの中国 一つの台湾』が興味深かった。

 本書にもちょっとだけ言及があるが、また韓国との関係について『好きになってはいけない国』の項で触れたことと共通するが、この手の感じを日本人が理解しようと思ったら、日本とアメリカの関係を想起するのが良いと思う。「日本人は親米か嫌米か?」という問題の立てかたがどれほど危ういかはよくわかるだろうし、さらにいえば、この親米/嫌米の対立軸の中に当のアメリカ人が入ってきてとやかく言ったらどれほど鬱陶しく感じるかもわかるだろう。

 なお、蔡焜燦とか李登輝の主張そのものが悪いと言いたいわけではない。しかし、彼らの主張は他の本で読めるわけだし、すでに語り尽くされてしまっている。あとは誰の声が一番大きいか、また国際的な政治情勢の中で誰が勢いづくかという問題でしかない。一方、『日本に恋した台湾人』のような本は、著者にしか書けないオリジナルなものだったし、読んでいるこちらにもいろいろと新しい発見があった。そういうものを読みたいと思う。

2001/4/14

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