虐待者

Predators, The

ブライアン・フリーマントル / 新潮社 / 01/04/01

★★★★

ちと困った

 ブライアン・フリーマントルが別名義で書いている、ユーロポールのプロファイラーのクローディン・カーターを主人公とするシリーズの長編2作目。この前に、連作短編集の『屍泥棒』『屍体配達人』がある。

 私はフリーマントルの作品がとにかく大好きなのだが、本書はちょっとしんどかった。面白いんだけれども、まだフリーマントルを読んだことがない人に最初に勧める本としては適していない。本シリーズは、チャーリー・マフィン・シリーズとダニーロフ&カウリー・シリーズが存在するという前提で、アンチテーゼ的な警察小説として読むべきものなんだろう。

 本作では、駐ベルギーの米国大使の娘が小児愛好者の犯罪集団によって誘拐される。その捜査の過程で、ユーロポールおよびクローディン・カーターと、FBIからやってきた病的な捜査官の間で熾烈な争いが展開される。犯罪とその捜査の描写があっさりとしていて、ユーロポール内、およびユーロポールと関係機関との間の権力争いの方に焦点が当てられている点はこれまでと同じ。

 ユーロポールに英国から派遣されてきているピーター・ブレークなる捜査官が、クローディン・カーターの新しいロマンスの相手役として登場する。上司のアンリ・サングリエの人物像がますます興味深くなってきている。そしてクローディン・カーターはますます嫌らしい女になっている。このシリーズの今後は、このクローディンがどれほど嫌な女になれるかにかかっているように思うんだが、そういうことに成功したシリーズが読者の支持を受けるかはまた別問題。

 なお、翻訳が良くない。コンピュータ関連の用語については知識の不足が見て取れる。

2001/4/19

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