インターネットで日本語はどうなるか

西垣通、ジョナサン・ルイス / 岩波書店 / 01/03/26

★★

ちょっと拍子抜け

 インターネットが普及した世界における日本語というトピックについて、良く言えば多方面から論じている本。悪く言えばまとまりがなく、議論の深みがない。こういう内容の本が、定価2000円で岩波書店から出ることに違和感を感じるのは、私の側にまだ「岩波信奉」が残っているということなんだろうか。これがたとえば660円の新書で出ていたら、個々の議論の内容はそれほど悪くはないと思ったかもしれない。だが本全体のまとまりのなさからして、一番適したメディアはやはりWebだろう。以下、ちょっと思ったこと。

 1「英語教育と英語公用語化論」の18ページで、英語公用語化論と外国人労働者の受け入れの問題に関連して、「まさか、英語堪能なIT関連の労働者のみを受け入れ、日本人は肉体労働に従事するという図式を思い描いているわけでもないだろうに……」とあるが、ある種の人々はまさにこれを思い描いていると思う。この路線をあまり追求すると『機会不平等』のような陰謀史観になってしまうけれども、大企業のお偉方たちが、政治家や官僚へのチャネルを通してそのような働きかけをしている様子はちらほらと見えている。そういう図式を思い描いている人にとって、外国人労働者と日本人労働者の両方を、英語のスキルによってフィルタリングするというのは合理的な仕組みである。

2001/4/19

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