環境生態学序説

持続可能な漁業、生物多様性の保全、生態系管理、環境影響評価の科学

松田裕之 / 共立出版 / 00/12/20

★★★★★

環境問題に関心がある人にはぜひ

 タイトルにある「環境生態学」(environmental ecology)には、人間とその他の生物の間の相互作用を視野に入れ、人間が自然環境の資源を利用するということを考慮に入れた、いわゆる「保護」とか「保全」にとどまらない生態学という意味が込められているとのこと。環境問題のホットなトピックがいくつも取り上げられている(マイワシの激減、植物レッドリスト、マグロの乱獲、エゾシカの大発生、巻貝のインポセックス、所沢のダイオキシン問題、愛知万博の環境影響評価)。これに数理モデルを適用するだけでなく、著者自らがこれらの問題に関わって得た実践的な知識(working knowledge)に言及し、これらの論理の上にどうやって倫理を組み立てるべきかというところまで話を広げるエキサイティングな本。

 リスク管理の概念を取り入れた保護ポリシーを作成する話は実に面白い。生態学と経済学はいろんな面で議論のアイデアが共通しているのだが、これはファイナンスのリスク理論とパラレルだ。

 環境問題に関心があるすべての人に強くお勧めする。数理モデルのバックグラウンドが知りたい人には、本書の著者も執筆している『数理生態学』(共立出版)がいい。

2001/4/19

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