幸運なる二世

ジョージ・ブッシュの真実

Fortunate Son: George W. Bush and the Making of an American President

J・H・ハットフィールド / 青山出版社 / 01/04/09

★★★★★

案外まともな本だった

 1999年にSt. Martins Pressという出版社から出版されたが、著者に犯罪歴があったという事実が発覚して、出版社が発売から1週間も経たないうちに書店から全品を引き上げ、2000年1月に別の出版社Soft Skull Pressから再販されたといういわくつきの本。このSoft Skull Pressは弱小出版社らしく、amazon.comの読者コメントによると、本書は普通の書店にはなかなか置いていないという。amazon.comでも現時点でout of printステータスになっている。なお著者の犯罪歴とは、元上司を殺すために殺し屋を雇ったという浮き世離れしたものらしい。

 まあそういうワクワクするようなバックグラウンドを持つ本なのだが、読んでみるとこれはかなりまっとうな本で、amazon.comの読者コメントではそこらのジョージ・W・ブッシュ本と内容そのものはそれほど変わらないという感想が散見される。彼のこれまでの経歴を、はっきりと民主党寄りの批判的な目で解剖するという趣旨なのだが、しっかりとリサーチを行い、冷静な記述を行っている標準的な(昔の立花隆を例外として、日本には存在しない水準の)アメリカ製ジャーナリズムだった。

 なお、出版が1999年末なので、2000年の大統領選についての記述はほとんどない。この読書メモでは、ブッシュ本人による自伝『ジョージ・ブッシュ』を取り上げている。また、『ワシントン政治を見る眼』は、共和党寄りの日本人著者が、2000年の大統領選について詳しく解説している。

 パルチザン的な色合いが強いということを考慮して、いろいろと割り引いて考えてみても、ジョージ・W・ブッシュにはいくつもの弱みがある。しかし、クリントンの支持者たちは、彼が嘘つきの女好きだということを知りながら、彼を大統領に選んだということが、2001年の時点で回顧的に事実として認定されてしまっているいま、ブッシュの支持者たちにとっても本書に書かれているような内容は折り込み済みということになるのだろう。いやほんと、森首相の買春疑惑とか暴力団員との付き合い疑惑などはスケールの小さい話である。

2001/4/26

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