ダーウィン・ウォーズ

遺伝子はいかにして利己的な神となったか

The Darwin Wars

アンドリュー・ブラウン / 青土社 / 01/05/15

★★★★★

やたらに面白い

 著者はジャーナリスト。ネオ・ダーウィニズムにまつわる論争を題材にした『噂の真相』とでもいうべきゴシップ本だが、『科学の終焉』なんかよりはずっと明晰であり、題材を的確に理解して書いている。『I Hated Hated Hated This Movie』のような、ユーモアのセンスで勝負する映画評論に似たところがあって、1ページにつき1回は必ず大笑いできる。傍目からの評論だけでなく、いくつかのコンテキストで著者独自の見解も表明されており、共感する部分が少なくなかった。とりわけ、『虹の解体』で強く感じた、ドーキンス派の(そしてこれは「グールド派」にも共通する要素なのだが)啓蒙主義者としての傲慢さに、宗教についての報道をしてきたという著者が、宗教の(信者ではなく)観察者として噛み付いている部分は非常に良かった。

 生物学者だけでなく、哲学者も視野に入れているのがよい。また個人的には、ミームに関する議論のアップデートとして役に立った。

 ただし、ちょっとばかり業界本の色が強すぎるかもしれない。個々の立場の論点を知っていないとギャグがわからないので、平均的な読者が読んでも得るところはあまりないだろう。

2001/5/3

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