敗北を抱きしめて

第二次大戦後の日本人

Embracing Defeat

ジョン・ダワー / 岩波書店 / 01/03/21

★★★★★

感動的な本

 2000年度のピュリツァー賞を受賞した、日本の戦後の占領期を扱ったノンフィクション。2001年度にはHerbert P. Bixの"Hirohito and the Making of Modern Japan"が受賞しており、日本を扱った本が2年連続で受賞したということで話題を呼んだ。なお、訳本は現時点では第3部までを収録した上巻のみが出ている。

 英語圏の読者向けに当時の日本の様子を紹介するという目的の本なので、日本人読者にとってはそれほど新鮮な内容ではないのだが、著者の姿勢がかなり楽天的で、ユーモアの質も良いため、読んでいて気持ちがよい。私はハードカバー版を買っていたが、頭の中で固有名詞をいちいち日本語に戻すのが面倒になったので途中で読むのをやめていた。本書の翻訳は日本語のオリジナル資料をたんねんに調査しているようで非常にありがたい。

 なお、amazon.comの読者コメントは興味深い。著者本人のアプローチも含めて、いろんな立場がありうるということがよくわかる。さらにいえば、本書の訳本が岩波書店から出るというのも興味深い。たしかにどちらかといえば岩波書店向きだが、場合によっては扶桑社から出てもおかしくないような内容なんである(でもやっぱりおかしいか)。現在のリベラル/保守の対立軸から微妙にずれた視点であり、どちらの側にも参考にすべきところは多いと思う。

2001/5/3

TRCの該当ページへ

amazon.comの該当ページへ

検索ページへ 目次へ 前へ 次へ