ザ・ジグソーマン

英国犯罪心理学者の回想

Jigsaw Man,The

ポール・ブリトン / 集英社 / 01/04/30

★★★★★

非常に興味深い回顧録

 英国でプロファイリングを行っている心理学者の回顧録。TVシリーズ"Cracker"のモデルとのこと。アメリカのFBIによるプロファイリングについてはノンフィクションとフィクションの両方でかなりの情報が得られるけれども、英国の状況については情報量が不足ぎみだと思う。本書の著者は、英国におけるプロファイリングの黎明期から活動を行っており、非常に有名ないくつかのケースに関わっている。現代の英国を舞台にした警察小説の読者には必須の読み物といってよい。「心理的おとり捜査」と呼ぶべき、アメリカではちょっと許されなさそうな捜査手法が紹介されていて興味深い。

 本書のもう1つの美点は、いくつもの有名な事件について、生半可なフィクションよりも陰鬱な細部を描いているのに、しっかりとした職業意識に支えられてぎりぎりのところで上品さを保っていることだ(ただし本当にぎりぎりのところ)。犯罪実話もののノンフィクションは、読むうちに著者の人格を疑いたくなるものが少なくないから。

 また、本書はとにかくリーダビリティが高い。時系列的な記述なので、同時に複数の事件が進行するところもあるのだが、きれいに整理して書いており、並のサイコパス小説よりも読み物としてずっと面白い

2001/5/10

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