イギリス人はおかしい

日本人ハウスキーパーが見た階級社会の素顔

高尾慶子 / 文藝春秋 / 01/02/10

★★

普通のエッセイ

 1998年に出た単行本が文庫化されたもの。文庫化にあたって「後日談」が加筆されている。

 「外国暮らし本」だが、本書の著者にはリドリー・スコットの英国の邸宅のハウスキーパーの仕事をしていたという特徴があり、そちらの関心から読んでみた。まあそこそこ面白いエピソードはある。プライバシーの侵害に思える記述も少なくないが、そういえば英国のイエロー・ペーパーでは「元使用人の談話」が話題に昇ることがちょくちょくあるような。著者の雇用期間はあまり円満な形で終了したわけではなさそうだ。

 なお、著者は「ビートルズ世代」で、英国暮らしが長く、不況、サッチャー政権、ブレア政権といった変遷を経験している。サッチャーが嫌いで労働者階級の味方だが、お金持ちのハウスキーパーをやっていたせいか、中上流階級的な感性が見え隠れする。本書を読んでいて脳裏に浮かんだのはセルマ・リッターの顔だった。労働者階級出身だが、中上流階級に雇われていることを笠に着て高圧的な態度に出るセルマ・リッター。

2001/5/17

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