考えるヒット

近田春夫 / 文藝春秋 / 98/04/30

★★★★

内容がよくわからないが面白い

 『週刊文春』連載のコラムをまとめたもの。1997年頃の日本の歌謡曲の新曲を対象にした評論。最後の方に2つ対談が入っている。

 私は日本の歌謡曲に疎いので、出てくる固有名詞の半分はわからない。知っている曲はごくわずか。街中で聴いたことのあるものはたくさんあるのだろうが、判別できない。しかし、知っているものについては面白く読めた。要するに近田春男は偉い人だということなのだろう。

 しかし全体として、ここに描かれている状況は寒々しい。著者はその寒々しい状況を見つめる勇気を持っていて、最近読んだ『ロック大教典』は現実逃避である、ということなのだろうか。

 なお個人的に。(前述の渋谷陽一の文章でもそうだが)歌詞についての言及が多い。それで、私は歌詞というものをほとんど聴いていないんだということを改めて認識した。というよりも、ひどい歌詞がつけられていればネガティブな感覚を受けるが、歌詞によって肯定的な感覚を受けることはまずない。ほとんどつねに音として聴いている。本を読んでいて、シーンの風景が喚起されない(文字の羅列として見ている)。映画を見ていて、登場人物の服装を思い出せない(何を見ているのか定かでない)などの個人的な傾向と軌を一にしている。

1998/6/14

TRCの該当ページへ

検索ページへ 目次へ 前へ 次へ