立花隆サイエンスレポートなになにそれは?

立花隆 / 朝日新聞社 / 01/03/25

★★★

前半はいいが後半はだめ

 『サイアス』の連載からのスピンオフということらしい。東北旧石器文化研究所の藤村新一副理事長による旧石器捏造事件(2000年11月5日に毎日新聞がスクープ)と、ノーベル化学賞を受賞した白川英樹のインタビューを2つの大きな柱とするジャーナリスティックな仕事。

 『「わからない」という方法』で、立花隆を「80年代に面白かったのだが90年代に入って急速に魅力を失った著作家」の一人として挙げたが、その理由として、彼が自然科学の分野に足場を移したことが原因だという説を友人から拝聴した。議論の中で私が得た結論は、立花隆は問題領域に批判的な立場で切り込むジャーナリストとしては素晴らしいのだが、自然科学の分野では批判的な立場を基本的にとりようがないことに根幹の原因がある、というものだった。本書はこの仮説を見事にサポートしている。前半の、捏造事件を扱っている部分はきわめて面白いのに対し、後半の、白川英樹のインタビューは面白くない(もちろん、他の白川英樹インタビューと比べれば相対的には良いのかもしれないが)。

 旧石器捏造事件は、発掘現場で、現場の指揮をとるような立場にいる人が石器を埋めていたという話。もうちょっと本格的な報告が書かれるのを待ちたい。関係者たちにとっては大ごとだろうが、基本的にローカルでマイナーな話ではある

2001/5/17

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