銀河帝国の弘法も筆の誤り

田中啓文 / 早川書房 / 01/02/15

★★★

少し面白い

 挑戦的なタイトルと表紙に惹かれて買ってみた。『SFマガジン』に掲載された作品を含む短編集。この著者の作品を読むのはこれが初めてで、背景事情は知らない。

 1970年代頃に「ナンセンスSF」と呼ばれていたようなタイプの、言語ギャグ先行型のSF短篇集。ただし、かんべむさしや横田順彌よりも思索SF的なセンス・オブ・ワンダー寄りで、一時期の筒井康隆や式貴士のようなエログロ路線を入れたという感じだろうか。その後にも似たようなことをやっていた人はいるのだろうけれども、私はぜんぜん読んでいないので、とりあえずこれらの人々の直系と理解しておくことにする。

 短篇が5つ収録されているが、「銀河を駆ける呪詛」と「火星のナンシー・ゴードン」が(この順序で)気に入った。この2作に共通するのは、オチに向けて作品全体がきれいに構成されていること。

 個々の短篇の終わりに「解説」なるものが付いているが、著者あとがきを含むこれらの仕掛けを面白いと感じるセンスを何とかしてもらわないと、なかなか手を出せない。「銀河を駆ける呪詛」は(翻訳不可能だから実際に売るのは無理としても)グローバルな競争力を持っていると思うのだが、それを包んでいるパッケージが幼稚なのがもったいないと感じたことだった。

2001/5/24

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