潜入

在日中国人の犯罪

富坂聰 / 文藝春秋 / 01/05/15

★★★★★

興味深いルポルタージュ

 『週刊文春』の連載をベースにしたものらしい。在日中国人の犯罪に関するルポルタージュ。著者は北京大学に留学した経験を活かして、この手の取材活動を行っているとのこと。

 これまで詳しいことを知らなかったので、いろいろと驚くことが多かった。それと同時に、本書で描かれている事態には、アメリカの移民小説やノンフィクションに繰り返し登場するテーマとの共通点が驚くほど多いと感じた。リベラルな政策(「組織犯罪は存在しない」!)が事態を悪化させること、当初は同じエスニック・グループ内で食い物にしあって、一番の弱者がたいへんな被害を受けること、行政の対策が効を奏すると、空いたニッチにさらに悪質な集団が入り込むこと、などなど。

 残念なのは、マクロな客観的データがあまりないため、ここに描かれているような事態が日本の社会にどれほどのインパクトを与えるものなのかがわからないことだ。実際、日本における(中国人を含む)外国人犯罪の統計データの解釈方法には諸説あって、本書に描かれているような犯罪が本当に増えているのかどうかはよくわからない。また、その犯罪の性質も、従来の「暴力団」のそれと本当に違うのかというと難しいところだろう。確実に違うのは、このような外国人の犯罪組織は従来の暴力団とは違って「体制」との癒着をしていないということで、両者の間で少なくとも1回は激しい衝突が起こりそうだ。

2001/5/24

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