「少女監禁」と「バスジャック」

マスコミ報道と精神医療

月崎時央 / 宝島社 / 01/05/25

★★★★★

優れたジャーナリズム

 著者はフリーランスのジャーナリスト。精神保健福祉関連に強い著者が、2000年の前半の「新潟少女監禁事件」と「西鉄バスジャック事件」という2つの事件に、精神保健福祉の観点からアプローチして書いた本。その観点から見たときに、メディアでの報道にすれがあることを示している。前者の事件については『新潟少女監禁事件』という本があるが、本書でもこの本を取り上げていろいろと分析している。

 1冊の新書に詰め込むにはずいぶんと欲張った内容なのだが、まとまりがつかなくなっているという印象はそれほどない。著者はフリーランスのジャーナリストであることの不利さをずいぶんと気にしているようだが、アクセスの難しさが逆に本書を日本には珍しいまっとうなinvestigative reportingにしていることを考えると、これでいいのである。できれば、同じトピックでもう1冊分厚い本を書いてもらいたいものだ。なお、この読書メモでは何度も「日本にはまっとうなジャーナリズムがない/少ない」という趣旨のことを書いているけれども、このところそういうまっとうなものに比較的多く出会うようになった気がする。もしかしたらついに新しいトレンドが始まりつつあるのかもしれない。

 内容は面白い。ただ、私は逆に一般的なメディアでの報道をほとんど知らないので、的を射た批判なのかどうかは判断不能。

2001/5/24

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