デッドリミット

Hung Jury

ランキン・デイヴィス / 文藝春秋 / 01/05/10

★★★

今後に期待ということで

 『黒い蘭の女』でデビューした著者の3作目。2人の弁護士の合同筆名とのこと。

 英国を舞台にしたリーガル・スリラー/ポリティカル・サスペンス。テロリストが法務総裁を誘拐し、その弟である首相に対し、すでに陪審員が評議に入っている殺人事件の真犯人を探し出すよう要求してくる。首相の側での探偵もの、陪審員の間でのディスカッションもの、そしてテロリストものという3つの要素を同時進行させるという、壮大というか、頭でっかちというか、まあそういう小説だった。英国的なユーモアのセンスがうまく効いている。

 のだが、予定調和的な解決には大いに不満を感じた。ストーリーの構造をきっちりと計画しすぎたために、人工的な印象を与えてしまっているように思う。また、上記の3つの要素はそれぞれが1つの小説になりうるような題材なのだが、これらを組み合わせたせいで、1つの要素のみを取り上げる小説のポテンシャルに達していないように感じられる。探偵ものとしても、陪審員ものとしても、テロリストものとしても、これでは不十分である。

 とはいえ、怪しげなことを考えている作家だということは十分にわかった。今後の作品に期待することにする。

2001/5/31

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