新聞が面白くない理由

岩瀬達哉 / 講談社 / 98/06/15

★★★★★

まっとうなジャーナリズム

 月刊誌『Views』に連載された記事を中心にした単行本。第一部は記者クラブ、第二部は朝日新聞社の内部事情、第三部では新聞記者一般を扱っている。

 この本は素晴らしい。何よりも日本語がちゃんとしている。この読書メモでこれまで扱ってきた日本製のジャーナリスティックな本は10冊程度だが、その中でまともだったのは『サカナと日本人』ぐらいで、あとはひどいものだった。『イルカとぼくらの微妙な関係』もよいが、これはどちらかといえばエッセイか。

 第一部は記者クラブを扱っている。記者クラブは、その弊害が大昔から指摘されているのにもかかわらず、いまだになくなっていない。この本の素晴らしいところは、各種公的機関が記者クラブに対してはかっている経済的便宜の内容を、アンケート調査を通して分析しているところだ。特にいいのは次のところ(94ページ)。

ちなみに、アンケートでは半信半疑におこなった質問もある。そのひとつが、「記者クラブ」に配布される新聞の料金を、公的機関が支払っているのかどうかという質問だった。まさか、新聞代金までは負担していないだろうと思ったのだが、結果は逆で、ほとんどすべての公的機関が「記者クラブ」の新聞代を負担していた。とても信じられないことだが、「新聞」は「記者クラブ」の運営費を各公的機関に負担させ、商品としての新聞を製作したのち、それをさらに税金で買わせ、「記者クラブ」に配布させていることになる。

 こういうアンケートを行うと面白い結果が出ると気づいたところが素晴らしい。便宜を供与する側が、そろそろ負担を重く感じてきた様子が見て取れる。

 第二部は、朝日新聞社内部のスキャンダルを扱っている。関係者の協力を得たことが強みになっているのか、話題は多岐にわたっている。しかし著者は日本語が上手なので、内容の厳しさを考えると上品な批判になっている。

 第三部には、私が最もショックを受けた事実が記されている(276ページ)。選挙の候補者の紙面での扱い方を、朝日、毎日、読売の各紙と、法務省と自治省の間で示し合わせ、しかもそのようなガイドラインの存在そのものを隠してきた、というものだ。この本には他にも悲惨な事例がたくさん書かれているけれども、これが一番ひどいと思った。

1998/6/17

 朝日新聞の記者のリクルート・スキー接待疑惑の記事に関する反論が出た。疋田桂一郎の『書かれたらそれまでよ日誌』である。

1998/7/17

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