キリスト教と日本人

井上章一 / 講談社 / 01/05/20

★★★

面白いんだが

 日本におけるキリスト教の受容を、特に近世に焦点を当てて論じる本。日本におけるキリスト教という観念の観念史といった類いのものである。メインストリームのキリスト教史が、キリスト教の正統的な解釈にこだわるために軽視してきた周縁的な観念やら勘違いの中から、かえってキリスト教の受容の経緯が浮かび上がってくるという問題意識のもとに、江戸時代にキリシタンに付与された魔術的なイメージ、日ユ同祖論、キリスト教と仏教の関係についての妄想的な議論といった怪しげなものが流行したことそのことを、その時代の社会を理解するための手がかりとして利用する。

 というように、かなり面白い内容の本なのだが、相変わらずこの人の文体は読みにくく、構成も信用を醸成しない形式になっている。文体については仕方がないにしても、構成については、欧米の本格的な「観念史」ものを読み慣れた者は不満を感じざるをえないだろう。本書で特に不満を感じたのは、個々人の主張の内容が、当時の一般的な風潮と比べてどれぐらいの位置にあったのかを測定するためのベースラインが十分に提示されていないことだった。

 個々のエピソードは興味深い。

2001/5/31

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